基本はブレず、発想は柔軟に

皆様には、平素より当法人の運営に温かいご支援とご理解を賜り、心より御礼申し上げます。

 私は、福祉の世界に四十五年就かせていただいていますが、その間、大きく変わったことと言えば、集団処遇から個別支援への転換だと思います。「措置から契約へ」が転機となりました。措置時代においても、光道園では、利用者お一人おひとりが、一つでもできることを増やそうというのが利用者、職員共通の目標でした。今振り返ると一番活発な時期だったと思えます。利用者の方、職員も当時は若く、馬力がありました。その当時から比べると、高齢化・重度化が進み、きめ細やかな支援が必要となっています。

 加齢による身体的変化と、障がい特性との関係や知的障がいと認知症の判定など高度な知識と技術が必要とされ、質の高い専門的な支援を提供することが求められるようになりました。そして、一方で生活の質の向上も大きく取り上げられるようになり、利用者の方たちの自己決定を促し尊重する、お世話型支援から自立支援への転換期ともなりました。

 近年抱える大きな課題は、少子高齢化による就労人口の減少です。必要な人材を確保することが困難となりました。福祉分野は発信力が弱く認知度が低いとされています。社会福祉法人を知っている割合は2割程度だそうです。そのような状況を打開すべくブランディングに取り組む法人が増えています。もともと福祉法人は発信力が弱いとされています。実際に行っている支援の内容や社会的意義など伝わっていない現状があります。しかしながら、このブランディングに取り組んだ割には成果が出ていない現状があります。成功例を見ると、若い職員を中心としたSNSの活用です。施設の内容や日常の様子、支援の実際など多岐にわたり発信して、リクルートにも職員定着にも効果をあげています。それでも人材確保は困難です。どの法人でも外国人の雇用を進めています。光道園も外国人雇用を進め、介護職員、生活支援員や調理業務にあたる職員20名を採用しました。さらに、留学生10名を採用し、将来の人材確保に備えています。

今やれること、魅力ある職場づくりと発信力を強化し、将来に向けた人材確保と定着を目指さないと存続の危機に見舞われると考えます。そのためにも一法人の力だけでは限界があり、当協議会や他団体とも協力し取り組まなければならないと思います。私も微力ながら、私たちの福祉という職業のすばらしさや、そこに生活する利用者の皆さんの生き生きとした表情を伝えてゆきたいと思います。 

 私たちは、コロナ禍で多くのことを学びました。恐怖の未知なる感染症から徐々にその実態が分かり、対応も大きく変わりました。クラスターも何度か発生し、今も対応は続いていますが、普段の日常に戻りつつあります。一方で、突然の自然災害の発生により、対応を強化していく必要もあります。BCPの作成や訓練など必要だとは思いますが、突然の発生に我々はうまく対応できるか心配です。その時のために、訓練等やり続けるしかないのかと思います。

 光道園の園訓に「愛なき人生は暗黒であり 汗なき社会は堕落である」があります。これは、創設者であり初代理事長中道益平が生涯貫き通した精神で、我々光道園職員は、これを光道園精神として継承することを誓っています。基本はブレず、発想は柔軟に未来へと進んでまいります。

皆様には、今後も変わらぬご理解とご協力をお願い申し上げます。

 


社会福祉法人 光道園
理事長 荒木 博文